やんばるを使い尽くして
名護市の東海岸で1000坪程の畑を借りた。
畑といっても、3、4m級のススキで覆い尽くされてる、耕作放棄地てやつ。
周りのおじい、おばあたちには除草剤を使えばいいよーて言われるけど、僕はあまり使いたくないから、草刈り機で刈ることにした。
自らの身体で草を刈る事で、どこにどういったものが生えてるかわかるし、なにより、除草剤といったものが、はたしてどんな風に土壌や周りの環境に害が及ぶかもわからないのに、ただ便利だからという理由で使うのは、なんだかイケてない気がした。
最初はかなりしんどかったが、やっていく内にコツを覚えていった。 やはり質より量だね。
バサバサ斬り倒していくと、切れた断面が真っ赤のものがあったりした。 なんでかはわからないけど、血みたいで少し怖くなった。
自然に対する罪悪感てものがでてきたりもした。
なんでこんなにもススキだらけなのだろうと思い、調べてみたら、どうやら荒れ果てて植物の成長が困難になってしまった地に、一番最初に生えて葉を広げなくても効率の良い光合成を行い、窒素固定などもできるイネ科が生えるのではとのことだった。
他の植物や生物が成長できるように、土を豊かにするために生えているということ。
つまりは特攻隊長だ。
そんな特攻隊長さんをバッサバッサ伐ってたらさすがに罪悪感も湧いてくる。
そんなこんなで、バチがあたらないかなとか思いながら、作業をしていたら、後ろに誰か立ってるんじゃないかモードになってしまった。
このモードのめんどくさいところは、切り替えようとすればするほど、イメージがリアルになってしまう事だ。
誰か僕の後ろに立ってる。 白い服を着た男の子が、血のついたキツネのお面を被って立ってそうだ。
そんな感じがした。
勇気を出して後ろを振り向いたら、当然のことだが誰も立ってはいなかった。
だけど、次振り向いたらいるんじゃないかと思いはじめた。
僕は髪が長い。理由は、お金がかからないのと、髪が長いと不思議な能力が追加するらしいという記事を見たから。
その記事によると、ネイティブアメリカンは戦時中、全く知らないジャングルの中にある敵の罠を、何故かスイスイと見事にかわしていったと、だけど、軍人頭の坊主になってしまったとたん、その不思議な能力はなくなり、運動神経がいいだけの人になってしまったらしい。
猫もひげを切ったら元気がなくなってしまうという、いわば髪は人間の触覚的な役割なのかもしれない。
もっと調べると、髪が長いと様々なものをキャッチできるらしいが、ついでにいろんな嫌な念とやらも一緒にキャッチしてしまうと。
だから坊さんは雑念が取りつかないように、常に無でいるために、坊主にしていると。
だから僕もなんか嫌な念をキャッチしてしまっうかもしれない。そんな事を思い出してしまったために、恐怖が倍増してしまった。
そんなこんなでオドオドしながら作業していたら、いきなり後ろから、大きな声で、おい!て叫ばれた感じがした。おい!おい!て、めっちゃ聞こえてる気がした。 これは振り向いてはいけないやつだなと思い、しかとしていたら、めっちゃ近くなってきて、おーい!おーい!て、だんだん声が大きくなってきて、怒ってる声で、おい!おい!て、びっくりして、思わず振り向いたら、血のついたキツネの仮面少年ではなくて、無表情で、頭に阪神タイガースのTの文字がついたキャップを被ってるおっちゃんが立ってた。
誰ですか?怖いんですけど。
よくみたら隣の畑のキンジョーさんだった。
安心した。
キンジョーさんは色々教えてくれた。
若いんだから、ユンボ使わなくても、手作業で切り株掘り起こせるよとか。
そうなのだ、切り株がデカイからこのままじゃ耕運機を入れられないから、除去しなければならない。
後日りーなーと掘り起こし作業と草刈り作業に別れて作業する事になった。
僕が掘り起こす担当だ。
株の周りが枯れ草だらけで、埋もれていたので、燃やしてみる事にした。
一瞬で火がついた。あーやっぱ火ていいよねーとか思ってたら、結構激しく燃え始めた。
火を足で踏み潰したら火の粉が飛び散り、周りに広がってしまった。
お、やばいかもと思い、踏みまくったが消しても消しても風が強かったため、どんどんと広がってしまった。
あ、これやばいやつだと思い、あたふたしていたら、りーなが駆けつけてきてくれた。
りーなは枯れ草でバシンバシン叩いて消していた。 へー意外とそんなものでもいけるものなのかと。だから僕も切り株でチャレンジしてみた。
ボスボスやってみたが、重くて全くダメだった。
火はどんどん広がり僕の身長ぐらいまでの高さになっていた。
これ本気でやばいやつだと思いテンパった。
りーながひたすら枯れ草でバシバシ叩きながら、水!水!みずー!!!と叫んでいた。
僕は車に鍋があるのと、運良く畑に井戸があったのも思い出して、鍋を持ちながら20m程先にある井戸に猛ダッシュした。
よし!
??
???
入らない、鍋が入らねー!鍋の端しか入らなくて1mmも水が入らなかった。
猛ダッシュでかけ戻り、とりあえず踏みまくった。火は3m程の高さにまでなり、ゴーゴーとものすごい音を出していた。
僕は涙目になりながら、ゴーゴーしている炎を眺めていた。
りーなは車にファンタがあるから!ファンタがあるから!と叫んでいた。
僕はなぜかファンタを取らずに、また井戸に向かって走り出した。 いい事を思い付いた。服を濡らしてバシバシやろうと思った。
りーなはどこにいくのー!!と叫んでいた。
これできっと大丈夫。そう思い、ゴーゴーいってる炎に濡れた服を叩きつけた。
叩きつけた瞬間火の粉が僕の顔面に降りかかり、まつげと髪の毛が焦げて怯んでしまった。
ばんじきゅうすってやつだ。
本当にもうダメだと思った。消防の人たちと周りの農家さんに怒られる姿が脳裏をよぎっていた。
りーながファンタ持ってこい!ファンタ持ってこいっていってんの!!て叫んでいた。
車にはオレンジファンタが大量に積まれていた。僕はてっきり500mのやつ一本だと思っていた。
最初から言ってくれれば。
2リットルファンタを六本程使いやっと鎮火できた。
鎮火できた時は二人とも無言だった。
あー、本当に良かったねーて
野焼きは気をつけてね!
2/17(SAT)
橋の下でロックアウト一周年祭!
東海岸のやばさを味わってもらいますよ!
イベントページ↓ちぇけら
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